現代を舞台とした新作落語から一発ギャグ、そして歌まで、枠に収まらない活躍で話題の若手イケメン落語家。それが、春風亭昇々さんです。2017年には老舗子ども向け番組「ポンキッキーズ」のMCにも抜擢されるなど、落語ブームを追い風にして波に乗る昇々さん。噺家になったきっかけや落語への思いなどを伺いました。

第1話
たったひとりで、あらゆる光景を描く快感。

大学に入るまでは、落語はほとんど聞いたことがなかった。

─小さい頃から落語がお好きだったのですか?

いいえ。大学でたまたま落語研究会(以下、落研)に入るまでは落語に触れたことなどほとんどなく、夜中にラジオで流れてくるのを聞いたことがあるくらいでした。それなのにどうして落研に入ったかというと、ひとり仲良くしてくれた先輩がいたからです。それに部室に行けば、引っ込み思案だった僕をお花見やカラオケに連れ出してくれて、ご飯までおごってくれる。「この部活に入れば、食事に困らないぞ。」という軽い気持ちで、入部を決めました。当初の予定ではテニスサークルに入るつもりだったのですけどね(笑)。

─落研ではどういう活動をされていたのですか?

入部してすぐ、古典落語の演目のひとつ「つる」を覚えさせられました。来る日も来る日も部室にこもって「つる」の練習。この過酷さから、新入生はこれを「つる地獄」と呼んでいました。周りの大学生は青春を謳歌しているのに、どうして僕はこんなことをしているのだ、と思いましたね・・・。先輩からもらうアドバイスに対しても「僕はそうは思いません。」などと反発してばかり。あまり真面目な部員ではありませんでした。

─それでも続けられたのはなぜでしょうか。

もともと、自分が笑ったり人を笑わせたりと面白いことは好きだったんですが、一番大きいのは落研のみんなと仲が良かったことかなと思っています。(笑)

─続けるうちに落語の魅力にはまっていかれたのですね。

ええ。僕は全部ひとりでやりたい気質だったから、噺も自分でつくりたくなって、古典落語よりも新作落語に惹かれていきました。古典落語だと、どうしても人の功績を利用して笑いをとっている感じがしてしまうし、正直なところ現代の感覚にはそぐわない側面があるとも思っていました。

春風亭昇太の落語こそが、最高のお手本です。

─どういう経緯があって、春風亭昇太師匠に弟子入りされたのでしょう。

僕が観た中で一番面白かったのが師匠の落語だったからです。寝転がりながら何気なく眺めていたビデオが師匠の古典落語「壺算」で、マクラ(本筋に入る前の小話)がめちゃくちゃ面白くて驚きました。もちろん本筋の落語も抜群。調べると新作落語もやっている。師匠に弟子入りすれば、僕のやりたい落語ができるかもと思いました。

─弟子入り志願はどのように?

新宿の末広亭の前で出待ちをして、師匠をつかまえました。就職先も決まっていない大学4年の1月のことです。履歴書を渡して弟子入りを志願すると、師匠からは「1カ月後くらいに連絡するかもしれない。しないかもしれないけど。」と言われました・・・。

─それは不安ですね。

けれども1カ月後に師匠から「夕方、横浜の関内ホールに来れる?」と急に電話が入りました。当時兵庫に住んでいた僕は、新幹線に飛び乗り、すぐさま横浜へ。そうして向かった関内ホールの楽屋で、「僕は弟子なんてとりたくない。でもそろそろとらなきゃなと思っていたときにちょうど君が来たから、本当は嫌だけどおいで。」と師匠。なんて消極的な弟子取りなのだと思いながら、その日は横浜の漫画喫茶に泊まりました。翌朝、「落語家になれるかな・・・。」としみじみと感じたことを今でもよく覚えています。

企画:池田和助、森谷太一 写真:榊智朗 取材:立古和智
協力:浅草演芸ホール、avex life design lab

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春風亭昇々

落語家
1984年、千葉県生まれ。関西学院大学の落語研究会を経て、2007年大学卒業と同時に春風亭昇太のもとに弟子入り。2011年、二つ目に昇進。現代を舞台とした独特な新作落語に意欲的に取り組む。落語に限定せず、歌や一発ギャグをYouTubeで発信するなど、落語界でも異彩を放つ。2016年、「渋谷らくご大賞」を受賞。「ミライダネ」(テレビ東京)や「ポンキッキーズ」(BSフジ)にレギュラー出演するなど、お茶の間でも人気を獲得。

 

●公式ブログ:http://blog.livedoor.jp/shoshoss/
●Twitter:https://twitter.com/shoshoa2011
●YouTubeチャンネル〈アバンギャルド昇々〉:
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