保育園に通う子どもたちのかわいらしい言動や行動を綴ったTwitter(@_HappyBoy)のフォロワー数が44万3000人超(2017年11月23日現在)というカリスマ保育士。都内のある園で現役保育士として働きながら、出版、講演、研修、保育園のプロデュースなどにも精力的な氏に、保育士という仕事への熱い想いを語っていただきます。

第3話
夢は保育士の大リーグを作ること。

「あの保育士さんに見てもらいたい」という世の中に。

─保育士のモチベーションを上げることが、そのまま子どもの待遇を改善することにつながると考えているのですね。

その通りです。たとえば1000万円プレイヤーの保育士が増えていったらどうでしょう。異業種から優秀な人材が入ってくることになるでしょうし、それは子どもたちにとってもプラスになるはずです。

─大学に所得の高いスター教授がいるのと同じように、最初期の教育を担う保育の世界にもスター保育士が必要だ、と。

幼児教育がもっと充実すれば、未来はより輝かしいものになる。だから、僕の夢は「保育士の大リーグ」を作ることなのです。お父さんお母さんに「あそこの保育園に入れたい」「あそこの保育士に見てもらいたい」と思ってもらえるような優秀な保育園と保育士を集めてね。保育士にとっても「自分もその中で働きたい」「あの先生のようになりたい」というモチベーションに繋がるはずです。

そこには新卒ではなかなか入れなくて、どこかで最低5年は経験を積んでからFA宣言する、みたいな感じになると面白い。優秀な保育士には「移籍金を払うから、今年はウチで働いてくれ」とオファーがくるとか。そうなれば、子どもたちも憧れるスター保育士が生まれるかもしれません。保育士の社会的な地位も上がっていくでしょうね。

若い保育士がハッピーに働ける環境を。

─大リーグを作ることが、てぃ先生の活動のひとつのゴールなのですね。

そうですね。具体的には、10年後くらいまでに大リーグを実現したいと考えています。まずは、僕の理想を反映した保育園を作るところからでしょうか。そのためには、実績を重ねて、僕自身のブランドを確立する必要があります。保育園の監修をしたり、講演をしたりしているのはそのためでもあります。

すでに企業主導型の保育園の監修を手がける相談も増えています。いずれにしても「大リーグの基盤となる保育園」を、10、20、30と増やしていきたいですね。「そこで働きたい」という人も増やしたい。そのために今頑張っています。

─そうなるとハッピーな保育士が増えそうですね。

保育士って「なりたい」と思う人は結構多い職業なのです。いまだに女子高校生のなりたい職業ベスト10には必ず入っています。だから、なおさら夢を叶えて保育士になった人が「なってよかったな」と思える環境を作りたいのです。そのためには、保育士の労働環境をもっと変えていかないといけない。仕事の効率化を図れるIT機器も積極的に採り入れて、若手が働きやすい環境を整えたい。そうすれば、より良い保育を実現できるはずです。

子どもは未来そのもの。だからこそ、しっかりと向き合いたい。

─より良い保育とはなんでしょうか?

「子どもひとりひとりを、きちんと見られる保育」ですね。今やインターネットで「三歳 活動」と検索すれば、三歳児が何をするのかは保育士でなくてもわかる時代じゃないですか。そもそも保育士の資格を持っていないお父さんお母さんが立派に子育てしているわけです。だとしたら、わざわざ保育士免許を取得して働いている保育士の専門性はどこにあるのでしょう?

僕は「個別対応」できる能力だと思います。インターネットに出てくる情報はあくまで平均的なもので「この子に合うかどうか」はわかりません。けれども保育士は、目の前にいる子どものことをよく知っているから、本当にその子のためになる対応を選択して、その子ども用にカスタマイズできる。それが保育士に残された最後の専門性だと思います。その専門性を十分に発揮するには、やっぱり時間と余裕。書きものに忙殺されずに、子どものことを考えてしっかり対応できる余裕。これこそが、より良い保育を実現するための最重要課題だと思います。

─保育士になりたい人にメッセージをいただけますか。

「保育士=大変」みたいに言われることもありますが、それを言ったら、どんなお仕事だって大変なものです。だから周りがどう言うかではなく、自分の「やりたい」という思いを大事にしてほしい。子どもが好きで、子どものために何かしたいという素敵な感情を生かしたいなら、こんなに素晴らしい職業はありません。

先ほどのお話にもありましたが、保育というのは社会を育む仕事です。だからこそやりがいも大きい。それに保育って、本来は楽しいものです。保育士がつまらないと感じるような保育をしている園も少なからずあるのでしょうけど、やり方や考え方を工夫すれば改革の余地はどんな業界よりもたくさんあります。より良い保育を実現するために、新しいことに挑戦したいという意志がある人とともに、僕は歩んでいきたいですね。

企画:池田和助、森谷太一、佐藤怜奈 写真:榊智朗 取材:立古和智
撮影協力:東京天狼院  〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F TEL:03-6914-3618

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てぃ先生

保育士。子どもに関してポジティブなことを発信するために2012年から始めたTwitter(@_HappyBoy)のフォロワー数は44万人を超える(2017年11月現在)。2014年にはツイートをもとにした書籍『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』を発行。ツイートを原作とした漫画『てぃ先生』も連載中。同作は2017年にアニメ化された。「顧問保育士」の肩書きで保育園のプロデュースにも携わり、2018年にオープンする「なごころ保育園」を監修中。

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